デジタル化と情報化が急速に進む現在、データは企業にとって最重要資産の一つです。ソースコード、設計図面、顧客情報、経営データなどが漏えいすれば、甚大な経済損失だけでなく、コンプライアンス上のリスクも発生します。ところが実際のセキュリティ運用では、「漏えいの兆候は見つかったがリスクの大きさを判断できない」「追跡はできたが、重大性や対応優先度を素早く整理できない」という課題が残りがちです。
Ping32 はこうした課題に対応するため、漏えい追跡リスクレーティングを提供します。本機能は多面的なデータ分析に基づき、漏えい事件を定量評価して段階的に管理し、「発見」から「リスク評価」、さらに「制御連動」までをつなぐクローズドループ運用を実現します。企業のデータセキュリティを、より見える化し、コントロール可能で、判断可能な状態へ導きます。
1. 「追跡できる」から「判断できる」へ:漏えい対策の新しい課題
エンドポイント制御、ファイル透かし、コンテンツ識別といった技術の成熟により、漏えいファイルの発生源特定、関与ユーザーの識別、拡散経路の再現など、一定の追跡能力を持つ企業が増えています。しかし実運用では次のような問題が頻発します。
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漏えいイベントが多く、重要度の切り分けが難しい(同日に複数アラートが出る中で、どれが高リスクか判断しにくい)
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統一的な評価基準がなく、担当者によって判断がぶれる(主観に依存して結論が揃わない)
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経営層がセキュリティ状況を短時間で理解しづらい(技術的詳細が多く意思決定が遅れる)
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対応リソースの配分が不合理(高リスクが後回しになり、低リスクに工数を費やす)
そのため、企業には「追跡」だけでなく、科学的で定量的、かつ説明可能なリスク格付けが求められます。
2. 漏えい追跡リスクレーティングとは何か
漏えい追跡リスクレーティングは、Ping32 の既存の漏えい監視・追跡機能に追加されるインテリジェントなリスク評価体系です。ファイル種別、ファイルサイズ、機微情報(センシティブ内容)、漏えい経路など複数の観点を組み合わせ、各事件を総合分析して、分かりやすいリスクレベルを出力します。
要するに、次の 3 点を短時間で明確にします。
漏えいの潜在的影響はどれほどか。即時の対応が必要か。調査・対処にどれだけのリソースを投入すべきか。
これにより、セキュリティチームは「本当に危険な事件」を優先して扱えます。

3. 多次元インテリジェント分析:科学的なリスクモデルを構築
Ping32 のリスクレーティングは単純なルール点数化ではなく、多次元で拡張可能な評価モデルに基づき、漏えい事件を包括的に分析します。主な評価軸は次のとおりです。
3.1 漏えいファイル種別の分析
ファイル種別は重大性判断の基礎です。企業価値への影響は種類によって大きく異なります。
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中核技術ファイル:ソースコード、製品設計資料、研究開発データなど。漏えいすれば技術競争力や市場地位に直結し、知的財産リスクも伴うため、高リスクになりやすい領域です。
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顧客情報・財務データ:顧客名簿、契約情報、財務報告書など。漏えいは信頼低下、規制対応コスト増、場合によっては訴訟につながります。
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一般業務文書:日報、社内メールなど。相対的に低リスクであっても、機微情報を含む場合は無視できません。
システムはファイル種別を識別し、漏えい時の潜在損害を見積もって評価に反映します。
3.2 ファイルサイズの分析
ファイルサイズは漏えい規模や影響範囲と相関しやすい要素です。小さなファイルは局所的影響に留まる場合がある一方、データベースバックアップや大型プロジェクトフォルダなどは大量の機微情報を含む可能性が高く、漏えい時の影響が広範囲に及び、対応も難しくなります。Ping32 はサイズをスコアリング要素として用い、影響の大きい事件を識別しやすくします。
3.3 機微情報(センシティブ内容)の分析
機微情報はリスク評価の重要軸であり、含まれる内容の性質が緊急度と優先度を左右します。
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個人情報:ID番号、口座情報、連絡先など。漏えいはプライバシー保護や法令遵守上の重大リスクになります。
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営業秘密:市場戦略、価格設定、提携契約など。漏えいは競争力低下や関係破綻につながり得ます。
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知的財産:特許関連文書、研究資料、技術設計図など。競合に先行されるだけでなく、法的紛争や損害賠償の可能性もあります。
Ping32 は高感度コンテンツに重み付けを行い、リスクレベルを引き上げることで優先対応を促します。
3.4 漏えい経路の分析
漏えい経路は拡散速度と制御可能性に大きく関わります。
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URL/外部プラットフォームへの流出:制御できない外部サイトやSNSに流出すると、拡散が速く回収困難で高リスクになりやすいです。
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ソフトウェア経由の転送:IM、ファイル共有ツールなどで未承認の転送が行われると、短時間で多方面に拡散します。
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可搬媒体(USB 等):オフライン持ち出しは追跡・調査の難度が上がり、管理上のリスク要因になります。
4. 明確で直感的なリスク表示:迅速な意思決定を支援
4.1 リスクレベルの可視化
各事件は評価結果に基づき、例えば「通常/重大/高リスク」などのレベルに自動分類され、ラベルや表示で分かりやすく提示されます。これにより、セキュリティチームは高リスク案件を素早く抽出し、優先対応できます。
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通常:影響が限定的、または機微性が相対的に低い
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重大:重要業務や機微データに関係し、優先度が高い
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高リスク:高感度データかつ拡散可能性が高く、重大影響が想定される
4.2 事件分析記録(根拠の提示)
Ping32 は詳細な分析記録を提供します。発生した端末の所属グループ、端末名、操作ユーザー、発生時刻、漏えいファイル名、ファイル位置、内容特性などを整理し、漏えい源の特定と影響範囲の把握を支援します。調査の根拠と管理層への報告資料としても利用できます。
5. 制御機能との連動:クローズドループ管理を実現
漏えい追跡リスクレーティングは「評価」だけでなく、対応のハブとして機能します。Ping32 はリスクレベルに応じて制御と連動し、以下を支援します。
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ファイル外部送信(持ち出し)制御:送信権限やポリシーで機密ファイルの不適切な拡散を抑止
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自動監査・バックアップ:外部送信ファイルをリアルタイムに監査し、必要に応じて送信ファイルをバックアップして証跡を確保
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異常行動アラートと調査タスク:送信時間、件数などの特徴から異常を検知し、アラート発報や調査の着手を支援
これにより、事件発生後の迅速な対応と、損失の最小化、運用品質の向上につながります。
6. 柔軟な設定:企業の実態に合わせた最適化
業種や企業によって守るべきデータと優先順位は異なります。Ping32 は以下のような柔軟な設定を可能にします。
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リスクレベル基準のカスタマイズ
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評価軸ごとの重み調整
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社内規程に合わせたポリシー設計
インターネット企業、製造業、金融機関、研究機関など、それぞれに適したリスク評価モデルを構築できます。
7. 漏えい対策を「測れる」「管理できる」指標へ
漏えい追跡リスクレーティングにより、漏えいは曖昧な不安ではなく、評価・順位付け・継続改善が可能なセキュリティ指標になります。データセキュリティの本質は「漏えいを防ぐ」だけでなく、「起きた時に速く、正確に、合理的に対応する」ことです。Ping32 は今後も現場の実態に沿って機能を磨き、より成熟した漏えい管理体制の構築を支援します。
FAQ(よくある質問)
Q1. 通常のアラートと何が違いますか?
アラートは「発生」を通知します。リスクレーティングは影響度を定量化し、重大性と対応優先度を明確にします。
Q2. どのような評価軸がありますか?
ファイル種別、サイズ、機微情報、漏えい経路に加え、端末・ユーザー・時間・送信行動などのコンテキストを組み合わせます。
Q3. 通常/重大/高リスクは何を意味しますか?
通常:影響が限定的。重大:重要業務または機微データに関連。高リスク:高感度かつ拡散可能性が高く、即時対応が推奨されます。
Q4. 誤検知や低価値アラートを減らせますか?
重み調整、ルール校正、例外設定、コンテキスト活用によりノイズを低減できます。
Q5. どの制御機能と連動できますか?
外部送信制御、リアルタイム監査・証跡、送信ファイルのバックアップ、アラート強化、調査タスク起票などです。
Q6. 業種別に設定を変えるべきですか?
推奨します。開発・製造はソース/図面重視、金融は個人情報/取引データ重視など、社内規程に合わせて最適化してください。